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格闘者—前田日明の時代(1) [著]塩澤幸登

[評者]

[掲載]2015年07月19日

[ジャンル]人文

表紙画像

 危険な匂いのするプロレスラー、格闘家の一代記は全3巻。「青雲立志篇」と名付けられた本書では20代半ばまでが描かれる。大阪の在日家庭に生まれた前田。両親の離婚に遭い、同居した父から見捨てられ、半ばだまされるようにプロレス入りする。純粋さを求める青年は「筋書きのある格闘」に戸惑い、嫌悪するが、戻る場所がない。
 プロレスラーとしては、先の読めない行動をする人を指す「トンパチ」の異名もとった前田だが、太宰治や三島由紀夫、小林秀雄らの文学作品に浸る。佐山聡、藤波辰爾、藤原喜明らのプロレス観や、師とあおいだカール・ゴッチとの交流も興味深い。今年初冬に発刊予定の(2)は、UWF時代を中心に。
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 河出書房新社・3240円

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