書評・最新書評

ミニチュア作家 [著]ジェシー・バートン

[評者]

[掲載]2015年08月09日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 舞台は17世紀のオランダ。18歳の少女・ネラが母親の決めた商人と結婚するためにアムステルダムに到着するところから物語は始まる。意地の悪い年上の義妹、愛情のない夫との生活を、夫が買い与えてくれたミニチュアのドールハウスが慰める……。
 序盤は「人形の家」をめぐって女性の抑圧を描いた物語かと思わせておきながら、途中から物語は一気に転がりだす。次々に明らかになる夫や義妹の秘密、それぞれの欲望、自由への渇望や弱さを前にたくましくなっていくヒロインが魅力的だ。当時の食事や服装、風習がきめ細やかに描かれており、巻末の17世紀のアムステルダム市民の年収比較や家計簿をあわせて読むと楽しい。
    ◇
 青木純子訳、早川書房・3240円

関連記事

ページトップへ戻る