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動物たちの武器―闘いは進化する [著]ダグラス・J・エムレン

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)

[掲載]2015年08月23日

[ジャンル]科学・生物

表紙画像

■人と動物、軍拡競争の自然誌

 たとえばカブトムシの角、ゾウの牙、シオマネキのハサミ。身体に不釣り合いに大きな器官が、動物にはよく見られる。単に生き延びることを考えればむしろ邪魔になりそうだ。なんでこんなものが進化してきたのか?
 その答えが本書で詳しく紹介されている進化的軍拡競争である。オス同士が1対1で争って、その勝者をメスが好んで選ぶ場合、武器としての角や牙だけが、どんどん大きくなっていくのだ。
 著名な生態学者一家の生まれである著者は、実に博覧強記、フィールドでの経験も豊富な上に膨大な原著論文を読みこなして、動物界の軍拡競争を、おもしろく語ってくれる。これぞ闘いの自然誌。
 人間における軍拡競争についても考察していて、現在の武器の破壊力は不自然に強大だと指摘する。「私たち人類が、次の軍拡競争を生き延びる可能性は少ない」。政治や外交の世界にも、進化論の成果をもっと取り入れていただくことを切に願う。
    ◇
 山田美明訳、エクスナレッジ・2376円


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