1. HOME
  2. 書評
  3. 「隔離の記憶 ハンセン病といのちと希望と」書評 「すべての人生は再生できる」

「隔離の記憶 ハンセン病といのちと希望と」書評 「すべての人生は再生できる」

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2015年08月30日
隔離の記憶 ハンセン病といのちと希望と 著者:高木 智子 出版社:彩流社 ジャンル:エッセイ・自伝・ノンフィクション

ISBN: 9784779121371
発売⽇: 2015/07/13
サイズ: 19cm/302p

隔離の記憶 ハンセン病といのちと希望と [著]高木智子

 「人生に絶望はないよ」「どう立ち上がるかが、人生、大事じゃなかとね」。ハンセン病だった人たちが、「とてつもない犠牲と、苦労、悲しみ」を抱えながら、前を向いて歩く中で発した言葉だ。
 特効薬ができた後も、日本では「らい予防法」が廃止される1996年まで、強制隔離政策が続いた。96年に新聞記者となった著者は、彼らの強さと優しさ、「まっすぐな言葉に、はっとさせられ、勇気づけられ」、身の回りで起きる出来事や、そばで見た喜怒哀楽を書き続けてきた。ふるさとを追われ、名前を奪われ、「いのちひとつで」生きた人たちが里帰りし、本名を取り戻す姿も著者は見守る。そして「すべての人生は再生できる」と書く。
    ◇
彩流社・2700円