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赦すこと 赦し得ぬものと時効にかかり得ぬもの [著]ジャック・デリダ

[評者]

[掲載]2015年08月30日

[ジャンル]人文

表紙画像

 本書は、仏のユダヤ系哲学者が、ナチスのユダヤ人虐殺を断罪した哲学者V・ジャンケレヴィッチの論考や手紙を分析しながら、難題「赦(ゆる)し」について深く掘り下げた思索の軌跡だ。「時効にかかり得ぬもの」「償い得ぬもの」と指弾された虐殺。しかし、赦しは「償い」から解放されるべきかどうか。ユダヤ人の実存自体を罪としたドイツ人から赦しを乞う言葉を得ることは、赦し・感謝につながるのか。赦しや正義をめぐる言表行為の中に「前もって書き込まれている偽証」、「赦しを乞う—赦す」ことの可能性・不可能性とは何か。戦後70年の安倍談話をふまえ、戦争犯罪と和解について再考したい向きに、難解だが示唆に富む一冊だ。
    ◇
守中高明訳、未来社・1944円

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