書評・最新書評

真説・長州力 1951−2015 [著]田崎健太

[評者]

[掲載]2015年08月30日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■プロレスラーは観客もつかむ

 昭和も終わりに近い1982年、「かませ犬じゃない」という名セリフを吐いたとされる長州力。「ここではないどこか」を、常に求めているように見えたプロレスラーだ。
 長州は山口県の在日家庭に生まれた。レスリング選手として高校時代から活躍し、専修大学在学中には韓国代表で五輪に出場。プロレス入りした時には、競技者の強さをすでに身につけていた。だが、それだけでプロレスラーにはなれない。長州によれば、観客を捕まえることができるかどうかで決まる。「感情をどれだけ出せるか」とも語る。
 そばには「指の第一関節だけで苦しみを伝えることができる」カリスマ、アントニオ猪木がいた。強い磁場のような力が長州のプロレス観と行動に絡みつき、揺さぶった。
 最近のプロレスブームの担い手「プ女子」を興奮させるのはもっと明快なファンタジー。鬱屈(うっくつ)した闘志を見せつけてきた「革命戦士」長州のたたずまいとは隔たりを感じる。昭和は遠くなりにけり、か。
 鈴木繁(本社編集委員)
    ◇
 集英社インターナショナル・2052円

関連記事

ページトップへ戻る