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過去と向き合い 生きる [著]井出孫六

[評者]

[掲載]2015年10月04日

[ジャンル]社会

表紙画像

 戦争や戦後を生きた人々を描くことにこだわり、警鐘を鳴らし続けた戦中世代の作家の目に、戦後70年のいまはどう映っているだろうか。今春、36年続けた信濃毎日新聞の夕刊コラム連載の筆を置いたのを機に最後の7年間から160編をまとめた。
 戦前の信濃毎日には抵抗の新聞人・桐生悠々がいた。弾圧を受けながらも軍部批判の筆を曲げなかった反骨のジャーナリストだ。その悠々の評伝をかつて書いた著者の文章にも、どこか同じような息づかいがある。とりわけテロが頻発し、安保法案が争点となった今年のコラムにその色彩が濃い。最終回には「今年の初め、私は空気の中にふと戦争のにおいを感じた」とつづっている。
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 信濃毎日新聞社・1404円

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