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“ひとり出版社”という働きかた [編]西山雅子

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)

[掲載]2015年10月11日

[ジャンル]政治 人文 社会

表紙画像

■編集者の思いを本に凝縮

 全力投球で10冊、本を書いてきたけど売れないなあ。そうぼやいたら、向かいの席の編集者が呻(うめ)いた。ぼくなんか、キミ並みには誠実な著者10人とつきあっているけどヒットが出ないよ……。
 それくらい本は売れない。本ってもはや時代遅れの代物?と疑いたくなるこのご時世に「ひとりで」本作りをしている人たち10人の姿を、本書は丁寧に紹介していく。
 こんな本があったら面白いと企画し、ふさわしい書き手を捜し、執筆を依頼する。装幀(そうてい)をデザインし、販売部数や価格を定め、書店への働きかけやイベントの企画など売り方を考える。もとより潤沢な資金はないので、どの段階でも工夫が必要になる。
 10人の編集者はみな個性的。経歴と今後への抱負はそれぞれ。本へのスタンスもいろいろ。その差異を尊重する著者の姿勢が心地よい。けれども、そのいろいろな思いは最終的に「良い本」にギュッと凝縮していく。本好きにぜひお薦め、の一冊である。
    ◇
 河出書房新社・1836円

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