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深夜百太郎 入口/深夜百太郎 出口 [著]舞城王太郎、MASAFUMI SANAI

[評者]

[掲載]2015年10月25日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 素顔を明かさない「覆面作家」による「百物語」。今年の夏にツイッターで毎晩1話ずつ発表した怪談を、『入口』『出口』の2冊に、50話ずつまとめた。
 顔を伏せて四つ足で機敏に動くクモ女や、事故で死んだ友人からの電話。異界の存在が唐突に出現し、日常の風景をがらりと変える。鬼にとりつかれた母親が息子をいじめて快感を覚える「笑う鬼」では、おはらいを受けても、鬼は完全には消えない。家庭に潜む狂気にぞっとする。
 深夜につぶやくような語り口がかえって不気味さを際立たせ、各話につくモノクロ写真からも不穏さが漂う。百物語はすべて語り終えると本物の怪異が現れるというが、はたして。
    ◇
ナナロク社・各1620円

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