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ペルシア王は「天ぷら」がお好き?―味と語源でたどる食の人類史 [著]ダン・ジュラフスキー

[評者]吉岡桂子(本社編集委員)

[掲載]2015年11月08日

[ジャンル]歴史 国際

表紙画像

■頭と胃袋を抱擁する好奇心

 著者は、米国のスタンフォード大学で言語学とコンピューターサイエンスを教えている。料理パーティーで知りあった中国系の妻と新婚旅行に出かけたベトナムの島で、漂う魚醤(ぎょしょう)の発酵臭を「ロマンチック」と言う人である。
 東と西、言葉と数値、そして、頭と胃袋を抱擁する好奇心が、この本を満たす。
 発酵技術を東南アジアから取り入れてうまれた説が有力とされるすし。現代の米国で、セックス・オン・ザ・ビーチ・ロールなどと、セクシーな命名が目につくのはなぜか。何百万ものレストランのレビューから分析する。
 また、ペルシャの牛肉の煮込み「シクバージ」が、日本で天ぷら、英国ではフィッシュ・アンド・チップスに。中国の魚醤が米国で大量生産されるトマトケチャップへと転生する歴史を説き起こす。
 文化や民族、宗教の「混沌(こんとん)としてときに痛みを伴う境界」で生まれた食の言葉から、グローバリゼーションと伝統の長く続く共存を味わった。
    ◇
 小野木明恵訳、早川書房・2376円



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