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べつの言葉で [著]ジュンパ・ラヒリ

[評者]

[掲載]2015年11月15日

[ジャンル]人文

表紙画像

 ジュンパ・ラヒリが20年以上学んでいるイタリア語で初めて書いたエッセー集。
 英語という「大邸宅」を捨て、なぜ「仮小屋」のイタリア語で書くのか。「創造という観点からは、安全ほど危険なものはない」。イタリア語で書く時、「不完全であるという自由」があるのだという。
 幼少時に渡米し、英語とベンガル語の狭間で「祖国も真の母国語も持たない」ことを欠陥だと思いながら育った。だが、そこに新たな言語が加わることで、2つの言語に対しても、自分に対しても理解が深まっていく。複数のアイデンティティーを持ち、「不確かさに源を持つ」からこそ、創造への衝動が生まれているのだと発見する過程が胸を打つ。
    ◇
 中嶋浩郎訳、新潮社・1728円

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