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現代美術キュレーター・ハンドブック [著]難波祐子

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)

[掲載]2015年11月15日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

■実務の細部が語る苦労と魅力

 キュレーターとは一般的に学芸員のことだが、近年はもっと広義に情報を整理したり、各分野で企画をたてる人も意味する。本書は国内外で美術展を手がけた著者が企画展におけるキュレーターの仕事を丁寧に解説したものだ。
 これまで華やかな展覧会の企画やコンセプトに焦点をあてた本はあるが、これは借用、保険、輸送、撤収など、裏方の地味な作業を含むすべてを網羅的に記述しようと試みたのが特徴だ。個人的に監督や監修の立場で展覧会に関わる機会が増え、見よう見まねでキュレーター業務の一部を経験したが、確かに現場でしか学べないことが少なくない。が、こうして細部に至るまで活字化されると、改めてこの職業の大変さと魅力がよくわかる。なお、本書は巻末にすぐ活用できる書類のひな型も付すが、ただ実務を淡々と解説しているわけではない。失敗談、名言、幸運な出会い、育児との両立などの個人的なエピソードも挿入し、読み物としても面白い。
    ◇
 青弓社・2160円

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