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緑と赤 [著]深沢潮

[評者]

[掲載]2015年11月29日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 16歳のときに在日4世だと知った大学生の知英、K−POP好きの友人梓、ソウルで知り合った日本に帰化した大学院生の龍平、人気アイドル似の韓国人留学生ジュンミン、在日コリアンにヘイトスピーチを繰り返すデモへのカウンター運動にのめりこむ中年の良美。日本と韓国で揺れる5人の人間模様や葛藤を丁寧に描いた群像劇。
 知英は差別的なデモを目の当たりにして以来「光の見えない暗闇」にいる気持ちに苦しむ。社会の閉塞(へいそく)感を浮き彫りにしたような不寛容さに息が詰まるが、物語には希望がある。国籍に縛られず、人と正面から向き合う大切さ。アイデンティティーに悩む龍平への友人の言葉に、著者の切実な願いを感じた。
    ◇
 実業之日本社・1836円

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