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北京・山本照像館―西太后写真と日本人写真師 [著]日向康三郎

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2015年11月29日

[ジャンル]歴史

表紙画像

■中国でも活躍した男の写真人生

 近代日本の草創期、一人の写真師がいかに生きたかの書である。安政2年に現在の岡山県に生まれた山本讃七郎が、13歳で写真技術(湿板写真)を知る。16歳で上京、その技術を学んだあとに28歳で、東京・芝区に写真館を開業した。
 この人物を追いかけながら時代背景、写真師たちの生態、さらに著者自身の取材ノートなどを明かす。山本はなかなか才のあった人物らしく、写真師としては相応の有力者となっていく。
 本書によれば、その写真人生の後半生は、北京でやはり写真館(山本照像館)を開いたという。この地では近代史にふれる仕事をしている。
 義和団の籠城(ろうじょう)義勇隊(日本人)を撮った写真などは確かに貴重である。今に知られている西太后を正面から撮影した肖像写真はこの山本によると、著者は論証を試みる。これは中国人が撮ったともいわれているが、著者は5点をあげて反論する。読者がどう読むか、興味のある記述が続く書である。
    ◇
 雄山閣・2808円

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