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野生めぐり―列島神話の源流に触れる12の旅 [文]石倉敏明 [写真]田附勝

[評者]

[掲載]2015年12月06日

[ジャンル]社会

表紙画像

 日本人の身体に眠っている「無数の他者の痕跡」は足元の現実のなかにこそある、という著者は、気鋭の人類学者と木村伊兵衛賞を受賞した写真家。例えば海幸彦と山幸彦の神話の地、宮崎県日南地方の潮嶽(うしおだけ)神社の春祭り。祭壇に複数のイノシシの頭とマグロが並ぶこの祭りから広がる世界は、日本一国にとどまらない。古代隼人(はやと)文化圏のルーツを南方諸国などに見、海と陸を通して共通する環太平洋圏の神話や文化のネットワークに及ぶ。ほか、オオカミ信仰に動物との交流を、東北のカマガミ信仰に製鉄技術との関わりを見るなど、縄文時代から現代に至る日本人の心の深層を神話の源流を訪ね思索を重ねながら探る。想像力を刺激する旅の記録だ。
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淡交社・2160円




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