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樺太(サハリン)が宝の島と呼ばれていたころ [著]野添憲治

[評者]

[掲載]2016年01月10日

[ジャンル]歴史

表紙画像

 かつて「宝の島」と呼ばれた樺太(現ロシア・サハリン)。1905~45年、北緯50度以南は日本領土だった。資源に恵まれ、出稼ぎに行った人は多いが、記録は少ない。この本は、秋田出身の18人の聞き書きだ。
 冬は山でエゾマツを伐採し、春になるとニシン漁の船に乗る。1921年に樺太に渡った三浦利七さんは「ニシンが来ると、ずっと向こうから音鳴りしてくるのだもの。風が吹くような音がしてくるのだス」と振り返る。敗戦と引き揚げの苦労にふれ、「まあ、かろうじて生きてきたスな」と言う。
 秋田の農家に生まれ、16歳で北海道へ出稼ぎに行ったこともある著者は「民衆の歴史は誰かが記録しないと忘れられていく」と書いている。
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 社会評論社・2268円

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