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限界費用ゼロ社会―〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭 [著]ジェレミー・リフキン

[評者]諸富徹(京都大学教授・経済学)

[掲載]2016年01月17日

[ジャンル]社会

表紙画像

■所有からシェアへ、変革を予言

 社会主義経済体制は崩壊、資本主義にオールタナティブはないと我々は思い込んできた。しかし本書は大胆にも、それが「共有型経済」にとって代わられると予言する。
 変化を引き起こすのは、「モノのインターネット(IoT)」だ。生産性を極限にまで高め、製品・サービスの供給にかかる追加的な費用(限界費用)をゼロに低下させる。企業はこれらの販売による収益を失うが、消費者は物的欲求をほぼ無料で充(み)たせるようになり、モノを所有する意義が失われる。
 人々はプロシューマー(生産消費者)として技能や才能をシェアしつつ、協働型経済組織を発展させる。そこで蓄積されるのは、利潤動機による「私的資本」ではなく、相互信頼と評価格付けに基づく「社会関係資本」だ。素人が互いに手元の空き資産を活用する、配車サービスのUber(ウーバー)や宿泊場所提供のAirbnb(エアビーアンドビー)など、新しいビジネスモデル台頭の背景要因が、ここに見事に説明される。
    ◇
 柴田裕之訳、NHK出版・2592円


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