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見果てぬ日本―司馬遼太郎・小津安二郎・小松左京の挑戦 [著]片山杜秀

[評者]

[掲載]2016年01月24日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 歴史小説家と映画監督とSF作家。一見奇妙な取り合わせの3人を通して、過去・現在・未来の3方向から、日本という国のかたちを削りだそうと試みた一冊だ。
 原子力に熱い視線を注ぎ、科学でリスクをねじ伏せてこその未来と信じた小松。遊牧民的なロマンにあこがれ、明治以前を書き続けた司馬。過去を懐かしむでも未来を夢見るでもなく、日常を静かに撮り続けた小津。何が、彼らをそうさせたのか。
 戦争体験の影響もふまえて著者が丹念に描くのは、島国が抱える宿命の中でもがき続けた表現者たちの姿だ。その時空の延長線上にいる私たちは、どう生きるべきか。日本文化の根源にかかわる問いが、3人の背後から立ち上がる。
    ◇
 新潮社・1944円

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