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植物たち [著]朝倉かすみ

[評者]

[掲載]2016年02月14日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 人間たちの振る舞いを、植物になぞらえて描いた短編集。物語の始まりに、必ず植物の解説がつく。他の植物にくっついて生きる「コウモリラン」で始まるのは、若い男性を家に住ませる年配女性の物語。条件に恵まれるとどんどん繁殖する「ホテイアオイ」の話では、家出少女たちがある家に住みつき、次々に妊娠する。
 心温まる話があるかと思えば、ぞくりとするような怖い話もあって、その振れ幅に戸惑う読者もいるだろう。でもこれらの短編は不ぞろいなようでいて、この社会で必ずしも主流と言えない人たちへの温かい視線を、常に感じさせる。世間の常識に凝り固まった心を、少しだけおおらかにしてくれる一冊。
    ◇
 徳間書店・1728円

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