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『私の「戦後民主主義」』書評 考える時間の幅が一気に広がる

評者: 朝日新聞読書面 / 朝⽇新聞掲載:2016年02月21日
私の「戦後民主主義」 著者:岩波書店編集部 出版社:岩波書店 ジャンル:社会・時事・政治・行政

ISBN: 9784000611060
発売⽇: 2016/01/28
サイズ: 19cm/185p

私の「戦後民主主義」 [編]岩波書店編集部

 引っ越しを重ね、一軒家に住めるようになったのは、朝鮮戦争「特需」のためだった、とのちに知る久米宏氏。父の横暴に耐える母を見て、「弱い者を守る」ことが民主主義の基本と思うようになった赤川次郎氏。ほかに上野千鶴子、大田昌秀、尾木直樹、柄谷行人氏ら、1950年以前に生まれた38人が、「戦後民主主義」に息を吹き込むメッセージ集だ。日本政治外交史の三谷太一郎氏は、日本の民主主義は「すべて戦後民主主義」という。戊辰戦争後の公議輿論(よろん)、西南戦争後の自由民権運動、日露戦争と第1次大戦後の大正デモクラシー……。考える時間の幅が一気に広がる。そして今の課題は、これを「最後の『戦後民主主義』とすること」だという。
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 岩波書店・1728円