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クローザー マリアノ・リベラ自伝 [著]マリアノ・リベラ、ウェイン・コフィー

[評者]本郷和人(東京大学教授・日本中世史)

[掲載]2016年03月06日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

■カットボールの名手が大活躍

 カットボールをご存じだろうか。速球のようにホームベースに近づき、打者の手元で小さく、鋭く曲がる、もしくは沈む。打者は芯でとらえることができず、空振りするか、凡打に終わる。
 この変化球を究めたのがニューヨーク・ヤンキースのクローザー(リリーフ・エース)、マリアノ・リベラである。パナマで父と漁船に乗っていた貧しい青年マリアノはヤンキースのテストに合格したものの、優れた制球力だけが取り柄の並の投手だった。
 だがある時、ふとした拍子にカットボールを覚え(敬虔〈けいけん〉なキリスト教徒の彼は神の思〈おぼ〉し召しという)、以後は大活躍(投球の80パーセントがカットボール)。2013年の引退までに652のセーブをあげた(メジャー記録)。
 本書はリベラの自伝である。勝つための理論とか、ビジネスに通じる野球哲学などは書かれてない。けれどもベースボールの興奮や楽しさがぎっしりと詰まっている。スポーツファン必読の一冊。
    ◇
 金原瑞人・樋渡正人訳、作品社・1944円

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