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解読 ジェフリー・バワの建築―スリランカの「アニミズム・モダン」 [著]岩本弘光

[評者]五十嵐太郎(建築批評家・東北大学教授)

[掲載]2016年04月24日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

 だいぶ前から気になっていたアジアの重要な建築家だが、初めて日本語でまとまって読むことができる大著が刊行された。西洋の情報は簡単に入ってくるが、国会議事堂を手がけた巨匠のことでも、スリランカはどうしても死角になってしまう。そこでバワの空間に魅せられた日本の建築家が本書を自ら刊行した。
 一般になじみやすい説明をするならば、環境に溶け込む熱帯のリゾートホテルのデザインに影響を与えたのが、バワである。本書は宿泊できるホテルを中心に彼の代表作を紹介しており、旅のガイドにも使えるだろう。またスリランカの風土や多層の歴史・文化を踏まえてバワを論じ、島国と世界の関係を考えさせる。
 裕福な家に生まれたバワは海外に遊学したが、図面を描く技術をきちんと習得しなかった。だが、世界各地で優れた建築を数多く訪れて学ぶことにより、地域性を抱えた独特のモダニズムに到達したという位置付けが興味深い。
    ◇
 彰国社 5400円

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