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新聞と憲法9条―「自衛」という難題 [著]上丸洋一

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2016年05月01日

[ジャンル]政治 社会

表紙画像

 日本国憲法施行から69年。その草創期を5年ごとの三つのステージに分けて、それぞれの時代に憲法9条がどのような辛酸をなめたのか、本書はそれを丹念に追いかけた。いわば憲法9条が激流をいかに泳いだか確かめた書だ。
 三つのステージにはそれぞれ主題があり、第1では制定前後の日米間の思惑、そして第2では朝鮮戦争の折にどのような波をかぶったか、そのうえで「憲法改正の歌」などを紹介しつつ改正論の復古主義が語られる。第3では砂川判決の伊達秋雄裁判長を軸にした司法の解釈が吟味される。いずれの記述の中にも新聞の論調や世論調査の結果が語られるが、国民感情は次第に9条容認に落ち着く。
 ときおり文中に挟まれる安倍首相や与党幹部の言は、この憲法の歴史・精神、とくに9条を守り抜いた国民を罵倒しているのではとの感がしてくる。しかし9条は強(したた)かであり、歴史的耐用性をもっていると著者は教えている。

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