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シニア左翼とは何か [著]小林哲夫

[評者]原武史(放送大学教授・政治思想史)

[掲載]2016年05月08日

[ジャンル]社会

表紙画像

 昨年夏から秋にかけて、国会前には連日のように安保関連法案に反対する人々が集まった。そこで注目されたのはSEALDs(シールズ)と呼ばれる大学生たちであったが、人数では60代以上の世代の方がまさっていた。著者は彼らを「シニア左翼」と名付けている。
 彼らの多くは、1952年の血のメーデー事件、60年安保闘争、60年代末の大学闘争などのいずれかに関わった体験をもっている。そうした体験はしばらく封印されていたが、SEALDsはかつての記憶を呼び覚ます役割を果たした。本書には、熱くなりがちなシニア左翼とあくまでも冷静なSEALDsの対比がよく描かれている。
 中核派などの新左翼セクトに対する取材も貴重である。いまだに危険を避けるため、時にはラブホテルまで使って話を聞いたというあとがきのくだりに、著者の並々ならぬジャーナリスト魂を感じた。一枚岩でないシニア左翼の実態が丁寧に描かれた好著だと思う。

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