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天草エアラインの奇跡。 [著]鳥海高太朗

[評者]斎藤美奈子(文芸評論家)

[掲載]2016年05月29日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 おお、これか! 大小のイルカがデザインされた機体を目にしたときには私も興奮した。熊本県の天草空港を拠点にした第三セクターの天草エアライン。2000年、第1便が天草空港を離陸した直後は搭乗率9割超の人気路線だった。
 だが3年目、早くも売り上げは急下降。会社は経営難に陥る。島といっても天草は九州本土と橋で地続きだしね、運賃は高いしね。再建は無理かも……。
 墜落寸前だった会社を再び上昇気流に乗せた原動力は何だったのか。その秘密を本書は関係者への取材を通して明らかにする。
 09年、大手航空会社の整備士だった新社長が来た日から奇跡ははじまった。
 社長自ら客室の清掃を手伝い、月に1度の機体洗浄は社員が総出。預け手荷物の業務も保安検査場の検査も助け合う。やや出来すぎの感はあるけど、中小企業に勇気を与える本。社員60人弱。日本一小さい航空会社の飛行機は、地震後も元気に熊本の空を飛んでいる。
    ◇
 集英社・1512円

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