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英語と日本軍―知られざる外国語教育史 [著]江利川春雄

[評者]武田徹(評論家・ジャーナリスト)

[掲載]2016年06月12日

[ジャンル]歴史

表紙画像

 最近では小学校から大学まで「英語一辺倒主義」教育が貫かれている。グローバル化する世界で「戦える」人材育成のためと謳(うた)われるが、それは本当に新しく、正しい教育方法なのか。
 旧日本軍の外国語教育史を調べた著者によれば帝国海軍も英語を教えている。だが、才能ある若者を選抜し、軍事教練すら省いて日本語を集中的に学ばせた米軍と比べると戦略性に乏しく、ドナルド・キーンやエドワード・サイデンステッカーのように文化の機微にまで通じた語学の名手を輩出できなかった。頂点を極められぬ一方で裾野を広げることも怠り、海軍は予備校から、陸軍は幼年学校からそれぞれ英語と独語偏重に凝り固まり、日本周辺諸国の言語を本格的に学ぼうともしなかった。
 こうした言語文化の深さと多様性への軽視が孤立と敗北を招く一因となった。同じ轍(てつ)をグローバル化の現代も踏んではいないか——。語学教育の「今」の検証にも役立つ温故知新の一冊だ。

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