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貨幣の「新」世界史―ハンムラビ法典からビットコインまで [著]カビール・セガール

[評者]加藤出

[掲載]2016年07月10日

[ジャンル]経済

表紙画像

 「お金の何が、私たちをここまで翻弄(ほんろう)するのだろう? お金には、人間をとんでもなく不合理な行動に駆り立ててしまう何かがある」。大手米銀で世界金融危機を体験した著者はそういった疑問を抱き、本書で貨幣の本質を探求している。
 そのアプローチは実にユニークだ。生物学、脳科学、心理学、人類学、宗教、歴史など多様な視点から縦横無尽に分析を行っている。しかも座学に終わることなく、専門家に話を聞くために世界を一周している。
 ガラパゴス諸島で生物が交換行為を繰り返して共生関係を築いているのを見た著者は、そこに貨幣の出発点を感じる。また、人間は従来の経済学では捉えられない不合理な行動をとる動物だからこそ、脳の反応を解析して予測モデルを構築する最先端の神経経済学の可能性が強調されている。
 フビライ・ハンが紙幣を増刷しつつ財政赤字を拡大し混乱を招いた話など、現代の我々に示唆に富む逸話も多数盛り込まれている。

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