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あゝ浅草オペラ―写真でたどる魅惑の「インチキ」歌劇 [著]小針侑起

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)

[掲載]2016年07月17日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

 本書のサブタイトルに「『インチキ』歌劇」とあるのだが、著者によるとこの語は昭和初期から使われていたそうだ。お高くとまった帝国劇場歌劇部に抗する意味、あるいは「ペラゴロ」と称する浅草オペラの熱狂的ファンの意地を示しているということだろう。
 大正時代の浅草オペラ史を俯瞰(ふかん)した本書は、この庶民芸能の裏側を丹念に見る。ジャンルとして確立するための変遷や、アバンギャルドとしての風刺オペラ「トスキナ」では特高警察といかに対峙(たいじ)したか、さらには、もっとも数多く上演された「女軍出征」に関わるエピソードなど興味のある史実が紹介されていく。この「女軍出征」の脚本も9ページ余にわたり収録されていて、女性蔑視時代の日本社会が率直に語られる。
 著者は1987年生まれという若さで、過ぎし時代の微妙な空気も理解して筆を進める。最終章の浅草オペラスター36人の人生模様を語る愛情溢(あふ)れた表現が著者の視点を示している。

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