「1974年のサマークリスマス―林美雄とパックインミュージックの時代」書評 元リスナーのあなたは必読!
評者: 斎藤美奈子
/ 朝⽇新聞掲載:2016年07月31日
1974年のサマークリスマス 林美雄とパックインミュージックの時代
著者:柳澤健
出版社:集英社
ジャンル:社会・時事・政治・行政
ISBN: 9784087816105
発売⽇: 2016/05/26
サイズ: 20cm/347p
1974年のサマークリスマス―林美雄とパックインミュージックの時代 [著]柳澤健
1970年代、一部の若者たちに熱狂的に支持されたラジオの深夜放送番組があった。TBSのアナウンサー・林美雄がパーソナリティーを務めた「パックインミュージック」である。
当時はまったく無名だった荒井(松任谷)由実や石川セリを見いだし、マニアックな日本映画について熱く語り、誰も知らなかったタモリを突然登場させて4カ国語マージャンをさせる。
本書はその林美雄の人生と「林パック」の時代を重ね合わせたノンフィクションだ。高校時代から全国コンテストのアナウンス部門で優勝するなど完璧なアナウンス術を身につけていた林は、じつは映画マニアではなかったという意外な事実。林と同期入社の久米宏をはじめ、多くの人々の証言はラジオ業界の裏面史としてもおもしろい。
ピンポイントな世代のための本だけど、「苦労多かるローカルニュース」「ミドリブタニュース」といった言葉に反応した元リスナーのあなたは必読!