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裸の華 [著]桜木紫乃

[評者]中村和恵(詩人・明治大学教授・比較文学)

[掲載]2016年08月28日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 踊り一筋のストリッパーが骨折して舞台を降り、四〇歳で故郷札幌に戻って、ススキノで店を開く。従業員はわけありのバーテンダーと、性格のまるで違う新人ダンサー二人。どこまで演歌な話になるかと思いきや、なんだこの潔さ。
 それぞれに秘密や過去はあるけれど、足の引っぱり合いや謀略はない、すっきりした職場の人間関係。店長ノリカの経営努力や、彼女が師匠と仰ぐ先輩たちの金言も、具体的で建設的。人材養成にも余念がなく、若い二人の踊り子たちは、店をきっかけにそれぞれ将来を見いだしていく。あっけにとられるほど率直に語られる恋や性欲は清々(すがすが)しい。
 水商売の世界を描く小説は日本文学に数多いが、これはかなりの変わり種。真面目に働く女たちと、その仕事を各方面から誠心支える裏方の男たちの話なのだ。この設定、やはり女性作家ならでは、また北海道の作家ならではかもしれない。幸田文『流れる』を思い出し、そんなことも考えた。

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