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〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則 [著]ケヴィン・ケリー 人間さまお断り―人工知能時代の経済と労働の手引き [著]ジェリー・カプラン

[評者]円城塔  (作家)

[掲載]2016年09月11日

[ジャンル]人文 科学・生物 IT・コンピューター

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■進む技術、急激な変化に人類は

 技術の進歩にはどこかバカバカしいところがあって、空を飛ぶ乗り物とか、言葉をしゃべる箱だとか、いまだに信じられない人もいるはずである。
 二十年前には、手帳大の機械で百科事典や地球全体の地図を見ることができるようになると信じる人は少なかった。
 しかし他方で、起こってしまった変化はひどく当たり前のことにもなる。携帯電話の登場以前、どうやって待ち合わせをしていたのか思い出すのは意外にむずかしかったりする。
 人工知能がおすすめの店を教えてくれたり、お金のやりとりが電子化されたりする未来はもうすでに到来している。誰もが動画を世界的に公開し、リアルタイムで交流していく。メールといえばそれは電子メールのことで、数時間以内の返信がないと落ち着かないという人も増えた。
 産業の効率化は進み、現代社会はもはや、コンピュータなしでは地球人口を支えられない。
 明るい予想を立てるなら、未来の人類は労働から解放される。言い方を変えると、労働の機会を奪われる。創作は誰にでも可能なものとなり、無料でコピーされていく。それだけではなく、機械がつくるようになるかもしれない。
 寝て暮らしていれば空から食べ物と娯楽が降ってくる未来がやってくるとして問題は何か。
 理想郷があるとして、人類全員がたどりつけるかどうかはまた別である。一部の人間だけが先に入ることのできる理想郷は猛烈な格差を生み出す。
 一番の問題は、変化があまりに速すぎることである。地球温暖化が百年かけて進んでいくなら対応のしようもあるが、十年となると大混乱が予想される。テクノロジーのもたらす変化も同様である。
 人間はまだこの変化をきちんと伝達する方法を確立できておらず、こうして本や書評の形で伝えることしかできないでいる。
    ◇
 Kevin Kelly 著述家、編集者▽Jerry Kaplan 米スタンフォード大学法情報科学センター特別研究員。

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