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文字を作る仕事 [著]鳥海修

[評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)

[掲載]2016年09月11日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能 IT・コンピューター

表紙画像

 爽涼たる書体(フォント)デザイナー鳥海修の半自伝。ヒラギノや游書体を作った人だ。いずれも、すっきりとしていて読みやすく、それでいて心に刻み込まれる書体である。怜悧(れいり)にして清澄な湧き水を連想させる。
 鳥海は、文字は文章の主役ではない、と強調する。読みやすければ読みやすいほど、書体についての印象は後景に退き、記憶に残らない。しかし、書体の善(よ)し悪(あ)しや内容との相性によって、読者の理解度や頭に残る度合いも変わってくる。
 紙の書物からコンピューター画面、さらにはタブレットやスマホへと、文字を乗せる媒体も変わってきた。組み方も、従来の縦書きから横書きが主流になりつつある。それぞれの媒体や装丁に合った、よりよいフォントがあるはずだ。
 しかしいつの時代にも、読みやすい文字、美しい文字は変わらず生き残る。文字は世に連れ、人に連れ。変わるものと変わらないもの。そのあわいを、鳥海は今日も追い求めている。

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