「ビッグデータの残酷な現実」書評 どのように使いこなしていくのか
評者: 佐倉統
/ 朝⽇新聞掲載:2016年10月09日
ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かすビッグデータの残酷な現実 ネットの密かな行動から、私たちの何がわかってしまったのか?
著者:クリスチャン・ラダー
出版社:ダイヤモンド社
ジャンル:コンピュータ・IT・情報科学
ISBN: 9784478022993
発売⽇: 2016/08/05
サイズ: 21cm/277p
ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす―ビッグデータの残酷な現実 [著]C・ラダー
著者は出会いサイトの運営者、邦題は安っぽいハウツー本のようとくれば、いかがわしい本と思われるかもしれないが、あにはからんや、中身はいたって真っ当なデータサイエンスの入門書だ。統計や手法の詳細には触れられていないが、ほとんどは学術専門論文として発表した内容にもとづいているという。
インターネットの普及によって、今までとは比べものにならない膨大な規模のデータを分析することが可能になり、社会や人間のいろいろな事柄について、新たな発見がなされている。著者は、このようなビッグデータ処理について良い面と悪い面を冷静に考察し、人道的な緩やかな介入が可能であると主張している。
インターネットを怖がっているだけでも、楽しんでいるだけでも、明るい未来はやってこないのだ。この巨大な情報の世界をぼくたちがどのように使いこなしていくのか、今、人類の英知が問われていると思わされる。