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安藤忠雄 野獣の肖像 [著]古山正雄

[評者]

[掲載]2016年10月16日

[ジャンル]アート・ファッション・芸能

表紙画像

 大阪の下町育ちで元プロボクサー、そして建築は独学。建築家・安藤忠雄の歩みは過剰なまでに物語的で、彼を語ると、どうしてもそうしたエピソードに吸い寄せられがちになる。
 本書の著者は、安藤とのつきあいがもう40年近い。タイトルも「野獣」などとうたう。当然ながら熱い人生が語られることになると予想してしまう。実際、ともに英国を旅した際に、安藤がホテルの電話番号をそらんじていたことや、安藤家の人々の実像など、著者にしか知りえないような逸話を明かしている。
 一方で、建築論、都市論が専門の大学学長らしく、安藤を建築史の中に位置づけようと努める。古典建築だけでなく、丹下健三や磯崎新ら内外の現代建築家もひきながら、モダニズム、一枚の壁、身体感覚、大阪弁といったキーワードを手がかりに格闘している。
 そして現役バリバリの建築家に「欠如の魅力」といった表現を加えるあたりはけっこうスリリングだ。


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