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クモの糸でバイオリン [著]大崎茂芳

[評者]円城塔  (作家)

[掲載]2016年11月06日

[ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝

表紙画像

 身の回りに、分解できるような電化製品は少なくなった。科学といってもなんだか細かな話か、抽象的なものばかりである。自由研究の題材にも困る。
 と、ここに、クモの糸をひたすら集めてぶらさがってみた人がいる。ちなみに糸を、十九万本ほど集めたという。さらには、バイオリンの弦につかえるかどうかもためそうということになった。
 べつだん、クモの専門家ということではなく、その間、医学部に勤務していた。休日になるとクモを求めて旅に出る。
 一口にクモの糸といってもクモの種類によって違いがあり、同一個体でも何種類もの糸をだす。クモの機嫌によっても糸のできが変わるのだという。
 著者は実に四十年間、クモの糸を調べてきた。身近の見慣れたものにさえまだまだ不思議は隠れているのだと思いださせてくれる本である。
 ただし、クモの写真がでてくるので苦手な人は注意すること。

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