丸刈りにされた女たち―「ドイツ兵の恋人」の戦後を辿る旅 [著]藤森晶子

[評者]保阪正康(ノンフィクション作家)  [掲載]2016年11月06日   [ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝 

表紙画像 著者:藤森 晶子  出版社:岩波書店

 第2次世界大戦下、連合軍によりフランス各地が次々と解放される。その折、対独協力者のレッテルのもと、女性たちが頭髪を切られ、丸刈りにされて復讐(ふくしゅう)やリンチを受けた。約2万人に及んだという。
 著者によるとこの丸刈りは、ナチスドイツでも敵性人と関係をもったドイツ女性が対象になって行われたというし、実はこの歴史は中世から続いていたと解説する。戦争と人間の傷を調べようとフランスにわたった著者の目に映る戦後社会。ドイツ人兵士と占領地の女性との間に生まれた「戦争の子供たち」の苦悩。丸刈りにされた女性やその家族の内面に分け入る研究姿勢は貴重である。
 ロバート・キャパの撮影した有名な写真の女性シモーヌを探し出し、彼女と家族の戦時下、戦後史も見つめる。シモーヌは45歳で死亡していた。写真で彼女に抱かれていた幼児は、それが自分であると知っているが、取材は拒否しているそうだ。辛(つら)い話である。

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