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絶対平面都市 [著]森山大道・鈴木一誌

[評者]大竹昭子(作家)

[掲載]2017年01月22日

[ジャンル]人文 アート・ファッション・芸能

表紙画像

 森山大道ほど東京中を撮っている写真家はいないだろう。小型のデジカメを片手に「狩人というよりもスリに近い」感覚でストリートをスナップして歩く。
 できた写真は遠近が消え平たくペラっとしている。彼の求めるこのペラペラ感に何が潜んでいるのか、写真に詳しいブックデザイナー鈴木一誌が対話した。
 森山の発言はつねにブーメランのように同じ場所に戻ってくる。「なにも写さなかったんじゃないか」という自問と「こうしちゃいられない」という焦り。
 撮る瞬間は路上の人が石ころに見え、「石ころどうしの同体感」に重力が消えて宙に浮いているような感覚になるが、終われば「いったいなにを見ようとしてるんだろうか」という疑問に苛(さいな)まれる。
 そうした無意識と自意識のはざまを行き来する言葉の彼方(かなた)から、写真の不思議さが立ち上がってくる。世界を理解するのではない。世界が謎の集積であることを可視化するのが写真なのだと。

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