書評・最新書評

不平等を考える―政治理論入門 [著]齋藤純一

[評者]杉田敦(政治学者・法政大学教授)

[掲載]2017年03月26日

[ジャンル]政治

表紙画像

 不平等の拡大が社会にもたらす深刻な分断。これに歯止めをかけ、より平等な社会を実現するには。最先端の政治理論の成果が凝縮されている。
 支え合いの基礎を「国民の同質性」に求める議論があるが、ナショナリズムは「対外的な自己主張」を強めても「対内的な資源の再分配」には必ずしもつながらない。むしろ、誰もが、生まれる場所を選べない「生の偶然性」や、いつ病気になるかわからない「生の脆弱(ぜいじゃく)性」を意識すべきである。事後的に保護する社会保障に加え、子どもの貧困の解決など、人々が社会で活躍できるように事前に促進することが大切だ。
 「自尊」ある人びとだけが責任ある「市民」となりうるので、平等はデモクラシーの条件である。他方で、デモクラシーがまともに機能しなければ、平等化は進められない。不平等化とデモクラシーの劣化とが負のスパイラルを描く現状をどう逆転させるか。本書を手がかりに考えたい。

関連記事

ページトップへ戻る