書評・最新書評

絶滅危惧種ビジネス―量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇 [著]エミリー・ボイト

[評者]市田隆(本社編集委員)

[掲載]2018年02月25日

[ジャンル]経済

表紙画像

 約3千万円で取引されたこともある世界一高価な観賞魚アジアアロワナ。中国などの富裕層に人気は高まる一方で、なぜそれほど人を引きつけるのかと興味を抱いた米国人ジャーナリストが3年半かけて、アロワナが生息する奥地、養殖ビジネスの現場など世界各地を訪ねる。魚の強盗殺人まで起こるほど欲にまみれた、高級魚に群がる人間模様を濃厚に描き出した。
 ワシントン条約で絶滅危惧種として取引が規制されているが、合法の養殖による輸出は過去に約150万匹と矛盾した状態にある。規制が愛好家の希少種志向をあおって法外な価格の原因になり、野生種は密漁で激減したと本書は指摘。自然保護のありようについて考えこんでしまう。
 希少価値の野生種を一目見たいと著者は危険を冒して東南アジアの奥地で探すが難航。さらに、アロワナの別種がいるアマゾン上流域に踏み込む。その情熱あふれる探検記の部分が、本書の清涼剤になっている。

関連記事

ページトップへ戻る