書評・最新書評

現代語訳 銀行業務改善隻語 [著]一瀬粂吉

[評者]加藤出 (東短リサーチチーフエコノミスト)

[掲載]2018年03月04日

[ジャンル]歴史 社会

表紙画像

 昭和2(1927)年の春、預金者が銀行に殺到する取り付け騒ぎが全国で起き、30もの銀行が休業に追い込まれた。
 この昭和金融恐慌の混乱冷めやらぬ中、ある銀行幹部が金融業界の先行きを深く憂い、「金融機関経営のあり方や金融機関で働く人たちの生き方についての警世の言葉」を著した。
 同書は長く業界で読み継がれてきたが、その待望の現代語訳版が本書である。手にとってみると、91年前に書かれたとは思えない、現代に通用する隻語(せきご)(短い言葉)が多数並んでいるのに驚かされる。
 「自分は最後に断言する。今後、もし銀行業に従事する者が失敗することがあるとすれば、それは必ず本冊子のいずれかの項に背反したためであることを」
 現在、日銀の超金融緩和策によって、金融機関は資金繰りに緊張感を持つ必要が全くない状態にある。しかし、歴史は繰り返す。本書の言葉の重みを感じる必要があるだろう。

関連記事

ページトップへ戻る