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地域の実像をとらえ直す「地域学入門」など注目の新書5選

「地域学入門」

 この半世紀で地域の姿は大きく変わった。グローバル化の流れはとどまらないが、「足もとの地域を知ることが、自分を知ることにつながる」と社会学者は言う。ゆかりの青森県津軽地方の事例を挙げながら、「生命」「社会」「歴史と文化」の三つの側面から地域を見つめ、その再生をめざす。
★山下祐介著 ちくま新書・1034円

「世界100年カレンダー」

 国連や各国の人口データなどに着目し、人口減少時代に突入しそうな世界で今後どのようなことが起きるかを描く。特に中国と米国の将来像を大胆に予測。少子高齢化が猛スピードで進む中国が、これまで同様の経済成長の勢いを続けられるのは今後10~20年程度ではないかとみる。
★河合雅司著 朝日新書・891円

「世間体国家・日本」

 世間体という「やっかいな」規律構造について、歴史社会学者が様々に分析する。「半ば宗教的なもの」として作用する世間体はネット社会で強化されていると指摘。コロナ禍による緊急事態宣言への人々の反応や「自粛警察」も論じながら、世間体の呪縛からの解放を説く。
★犬飼裕一著 光文社新書・968円

「甲子園は通過点です」

 夢の舞台を頂点とする勝利至上主義に警鐘を鳴らすスポーツジャーナリストが、変革の動きを追う。独自の球数制限で複数投手制を確立し成績を上げた県立高校、地域のリーグ戦を立ち上げて野球を楽しむ原点に立ち返る指導者。熱狂の影で高校野球界が抱える問題点が浮かび上がる。
★氏原英明著 新潮新書・792円

「マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か」

 副題は「#MeTooに加われない男たち」。文化や性に関わる価値観が急速に進化する中、変化に取り残されていると感じる多数派の男性が、いかに自らの特権を自覚し、無関心から脱するか。戸惑いや失語を乗り越えるための教科書。
★杉田俊介著 集英社新書・1012円=朝日新聞2021年10月2日掲載