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講談社絵本賞に田島征彦さん「なきむしせいとく」 真正面から描いた沖縄戦「過去の話ではない」

田島征彦さん

 講談社絵本賞の贈呈式が先月23日、東京都内で開かれた。「なきむしせいとく 沖縄戦にまきこまれた少年の物語」(童心社)で受賞した絵本作家の田島征彦さんが、思いを語った。

 受賞作は1945年の沖縄が舞台。国民学校2年生の男の子「せいとく」の目を通して、沖縄戦のむごさを真っ正面から描いている。

 田島さんは40年、大阪府生まれ。40年以上沖縄へ足を運び、これまでにも沖縄を舞台にした絵本を作ってきた。

 沖縄戦を生き抜いた人々の手記から「血の出るような叫び」を読ませてもらったという。「もし僕が戦争中、沖縄にいたらどうだっただろうと想像しながら描きました。こんなにつらい制作ははじめて。描きながら、想像しながら何度も叫んだ」と、創作中の心境を明かした。「『なきむしせいとく』は過去の話ではないんです。緑に包まれた島が焼けただれて……ということは、これから起こるかもしれない。そう思うと、この絵本ができてからもつらいです」(田中瞳子)=朝日新聞2023年6月14日掲載