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ノボさん―小説正岡子規と夏目漱石 [著]伊集院静

[評者]

[掲載]2014年01月19日

[ジャンル]文芸

表紙画像

 俳人、正岡子規の生涯をたどった長編小説。野球に夢中になった、おおらかな青春時代から、病床に縛られた苦しい晩年まで、やわらかな筆致でたどる。
 家族や友人はみな「ノボさん」と親しげに呼びかける。なかでも、夏目漱石との交流に、著者が心ひかれた思いがよく伝わる。落語好きで気があったふたり。高慢な態度を意味する「漱石」を子規も名乗ろうと考えていた、というエピソードは面白い。作品から淡い恋心をくみ取って、子規を誰よりも理解していたのが漱石だった。
 あふれ出てくる句と食欲。懸命に走り抜けた姿を、楽しく、流れるように描きあげたことが、その死を大きく意味付ける。
    ◇
 講談社・1680円


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