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「日本人と英語」の社会学―なぜ英語教育論は誤解だらけなのか [著]寺沢拓敬

[評者]萱野稔人(津田塾大学教授・哲学)

[掲載]2015年03月22日

[ジャンル]政治 社会

表紙画像

■根拠のない言説をただす

 グローバル化の進展によって英語の必要性はますます高まっている——。教育現場でも、職場でも、マスコミでもよくいわれることだ。こうした言説にはしかし、何の根拠もないことを本書は緻密(ちみつ)なデータ分析によって示す。それどころか2000年代後半には英語の必要性は減少さえしていると。英語ができればいい仕事につけたり収入がアップしたりする、という言説についても同じことが当てはまると本書はいう。さらには、日本人はアジアどころか世界でもっとも英語が下手である、といった言説や、女性は英語学習への意欲が高い、といった言説も、本書の緻密なデータ分析によって誤謬(ごびゅう)であることが示される。どうやら私たちは日本人と英語との関係について相当誤ったイメージをもっているようだ。問題は、そうした何の実証性もない、誤ったイメージにもとづいて実際の英語教育政策もなされてしまっていることだ。日本の英語教育のこれからを考えるうえで極めて重要な本である。
    ◇
 研究社・2808円

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