昔の人の営みの痕跡である遺跡や遺物は、私たちに土地土地で起きた様々なことを教えてくれる。それをテーマにした展覧会が、静岡県と東京都で開催されている。
静岡県菊川市の市中央公民館で開かれているのが、その名も「菊川市出土の中世の銅銭と流通品」展(3月17日まで)。4万7千枚もの銭が見つかった中世~近世の安曽(あんぞう)ケ谷(や)遺跡を中心に、横地氏城館遺跡群出土の陶磁器などが並ぶ。コンパクトだが、ずらりと並んだ銭は壮観。そこに込めた人々の思いが伝わる。
一方、東京都板橋区立郷土資料館の企画展「再発見!いたばしの遺跡」(3月24日まで)は、同区で見つかった旧石器時代・縄文時代の遺跡をテーマにした展覧会。同区では古くから発掘が行われ、考古学史上、重要とされる遺跡が数多く見つかった。展示では「茂呂型(もろがた)ナイフ」という石器の名のもとになった茂呂遺跡や、1951年に報告された赤塚城址(じょうし)貝塚などの出土品を紹介する。伝えたいという思いが強いゆえか、やや情報量が多いが、丹念な展示は好感が持てる。(編集委員・宮代栄一)=朝日新聞2019年2月27日掲載
編集部一押し!
- コミック・セレクト 「かまくらBAKE猫倶楽部」 幻想が見え隠れ、絶妙な読み味 ササキバラ・ゴウ
-
- コラム 「東京となかよくなりたくて」背伸びも気負いも、いつか懐かしく思い出す50のストーリー 好書好日編集部
-
- 新作映画、もっと楽しむ 映画「陰陽師0」奈緒さんインタビュー 平安時代の女王役「負の感情を『陽』に。自分の道は変えられる」 根津香菜子
- 新作映画、もっと楽しむ 「劇場版ブルーロック –EPISODE 凪-」声優・浦和希さんインタビュー「背中を押してくれるエールが詰まっている」 五月女菜穂
- 中江有里の「開け!本の扉。ときどき野球も」 生きるために、変化を恐れない。迷いが消えた福岡伸一「生物と無生物のあいだ」 中江有里の「開け!野球の扉」 #13 中江有里
- 図鑑の中の小宇宙 「すごすぎる絵画の図鑑」 フェルメールの名画の黄色の正体は…… 岩本恵美
- インタビュー 新井紀子さん×山本康一さん対談(後編) 辞書は民主主義のよりどころ PR by 三省堂
- インタビュー 新井紀子さん×山本康一さん対談(前編) 「AI時代」の辞書の役割とは PR by 三省堂
- インタビュー 村山由佳さん「二人キリ」インタビュー 性愛の極北に至ったはみ出し者の純粋さに向き合う PR by 集英社
- 朝日ブックアカデミー 専門外の本を読もう 鈴木哲也・京大学術出版会編集長が語る「学術書の読み方」 PR by 京都大学学術出版会
- 朝日ブックアカデミー 獣医師の仕事に胸が熱く 藤岡陽子さんが語る執筆の舞台裏 「リラの花咲くけものみち」刊行記念トークイベント PR by 光文社
- 朝日ブックアカデミー 内なる読者を大切に 月村了衛さんが語る「作家とはなにか」 「半暮刻」刊行記念トークイベント PR by 双葉社