「第30回伊藤園お~いお茶新俳句大賞」が3日発表された。新設された「金子兜太賞」には、横浜市の高校2年生松本大夢(ひろむ)さん(16)の「今ここで蒲公英(たんぽぽ)になれ種になれ」が選ばれた。
昨年2月に亡くなった金子兜太さんは、第1回から同賞の審査員を務めていた。金子兜太賞は「躍動感があってスケールの大きさを感じさせるもの」という基準で、日本語で応募された全句の中から選ばれた。
松本さんの受賞句は、初めて詠んだ三つの句のうちの一つだった。「タンポポは咲いた後に綿毛を飛ばし、また別のところで花を咲かせる。その姿が、いろいろなところでいろいろなことを楽しみたいと考えている自分と重なると思い、俳句で表現しました」と言う。
審査員からは「自分の思いを真っ向からぶつけていく勢いと、『なれ』を重ねる切れのリズムが金子兜太賞にふさわしいダイナミズム」と評価された。
松本さんは応募時点では、金子さんを知らなかった。受賞が決まった後、国語の先生に「すごい人だよ」と教わった。「有名な先生の名前が冠された賞なので驚きましたが、光栄です。これからも詠み続けたい」と話した。
飲料メーカーの伊藤園が主催する新俳句大賞は、季語や定型などのルールは厳密に問わない。今回は過去最多の約200万句の応募があった。最高賞の文部科学大臣賞には長崎県佐々町、福祉事務所勤務の田中龍太さん(28)の「猫の載るヘルスメーター文化の日」が選ばれた。(西秀治)=朝日新聞2019年7月10日掲載
編集部一押し!
- 文芸時評 分身に託す「自分の時代」 どんな社会を作るのか 古川日出男〈朝日新聞文芸時評24年2月〉 古川日出男
-
- 朝宮運河のホラーワールド渉猟 呪いとは何か 現代に生きる呪術に迫る3冊 朝宮運河
-
- 新作映画、もっと楽しむ 映画「陰陽師0」奈緒さんインタビュー 平安時代の女王役「負の感情を『陽』に。自分の道は変えられる」 根津香菜子
- 中江有里の「開け!本の扉。ときどき野球も」 生きるために、変化を恐れない。迷いが消えた福岡伸一「生物と無生物のあいだ」 中江有里の「開け!野球の扉」 #13 中江有里
- 大好きだった 君のお父さんもお母さんも立派な人だった 増田俊也 増田俊也
- えほん新定番 kaiseiさんの絵本「ある犬のおはなし」 大切ないのちについて考えるきっかけに 澤田聡子
- インタビュー 新井紀子さん×山本康一さん対談(後編) 辞書は民主主義のよりどころ PR by 三省堂
- インタビュー 新井紀子さん×山本康一さん対談(前編) 「AI時代」の辞書の役割とは PR by 三省堂
- インタビュー 村山由佳さん「二人キリ」インタビュー 性愛の極北に至ったはみ出し者の純粋さに向き合う PR by 集英社
- 朝日ブックアカデミー 専門外の本を読もう 鈴木哲也・京大学術出版会編集長が語る「学術書の読み方」 PR by 京都大学学術出版会
- 朝日ブックアカデミー 獣医師の仕事に胸が熱く 藤岡陽子さんが語る執筆の舞台裏 「リラの花咲くけものみち」刊行記念トークイベント PR by 光文社
- 朝日ブックアカデミー 内なる読者を大切に 月村了衛さんが語る「作家とはなにか」 「半暮刻」刊行記念トークイベント PR by 双葉社