コミック

昴とスーさん(1) [作]高橋那津子

2017年08月20日

■秘密を持つカップルの愛と強さ

 しっかり者の昴(すばる)とちょっぴりそそっかしい澪(みお)。一見、姉弟に見える年の離れた同棲(どうせい)カップルだが、何かおかしい。なぜ2人は他の住人の前で姉弟のフリをするのか? なぜ昴はわざわざ幼く見える恰好(かっこう)に着替えて外出するのか? 2人には、そうしなければならない大きな秘密がある。
 愛していた人を構成していた社会的要素が突如するりと抜け落ちてしまった時、人は変わらぬ愛を持ち続けることができるのだろうか? そのひとつの答えがここにある。抗(あらが)いがたい愛(いと)しさと、近くにいるのに遠く離れてしまった今この瞬間に過去を想(おも)う瞳。そんな複雑な内面が表出した表情ひとつひとつがそれを教えてくれる。
 とはいえ、本作は秘密を持ったカップルだけを描いた閉じた話ではない。できうる限り周囲を波立たせず生きようとする2人の社会感覚も描かれており、その中にもヒリヒリした悲壮感ではなく、互いを愛しく思う気持ちが滲(にじ)む。
 のんびりした澪が頼もしさをみせる場面がある。そこに2人が積み重ねてきた日々と、この先何が起ころうと現実を受け入れようとしている柔らかな強さが見てとれる。口幅ったいことを言うようですが、やっぱり愛は強いな。
 山脇麻生(ライター)
    ◇
 『昴とスーさん』(1) 高橋那津子〈著〉 KADOKAWA 670円

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