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田中角栄と自民党政治―列島改造への道 [著]下村太一

[評者]

[掲載]2011年10月23日

[ジャンル]政治

表紙画像

 これまで十分に検討されてこなかった佐藤栄作内閣期の田中角栄の動きを追った。浮かび上がってきたのは、高度成長で生じた政策課題に様々なシンボルを打ち出し、新しい政治家として自らを演出する姿だ。
 土地・住宅問題については「公益優先の土地利用」を記した都市政策大綱を作ったが、実態は自民党と不動産業界の結びつきを強めるものだった。農政については「農村工業化」で農業の近代化を進めるとしたが、農村の新たな利益保護策となった。通産相になると「工業再配置政策」を推進したが、業界団体との衝突を避けたため「列島改造」は徹底されず、利益誘導だけが肥大化していく。77年生まれの政治学者の分析はあくまでクールだ。
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 有志舎・2520円

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