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カーボン・アスリート 美しい義足に描く夢 [著]山中俊治

[評者]出久根達郎(作家)

[掲載]2012年08月26日

[ジャンル]人文

表紙画像

■健常者と同じ土俵で競う

 ロンドン・オリンピックの陸上男子四百メートルに、初の義足アスリートが登場し話題になった。スキー板に似た、カーボン繊維製の義足は加速装置か否か。スポーツ仲裁裁判所は、証明不備の現段階では健常者の走る国際大会への参加を認めた。切断者が(本書で知ったのだが、これ医学用語という)、健常者と同じ土俵でタイムを競う。画期的な事である。
 改札機のカード読み取り部分に携わった製品デザイナーの著者は、人とモノとの密接な関わりの、スポーツ用義足の開発に情熱を注ぐ。障害者のスポーツ大会は客が少ない。デザインによって衆目を集め、かつ選手を奮起させられないものか。機能と、見た目の美。走行中の義足は、瞬間的にその人の体重の倍以上の力が加わる。折れたら危険だ。
 著者は学生たちと共に、試行錯誤しながら研究に励む。そのプロセスが感動的につづられる。成果やいかに。二十九日から始まるロンドン・パラリンピックで披露される。
    ◇
白水社・1680円

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