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森敦との時間 [著]森富子

[評者]

[掲載]2012年10月28日

[ジャンル]ノンフィクション・評伝

表紙画像

 著者は森敦の養女で文学上の弟子でもある。「月山」で芥川賞を、史上最年長の61歳で受賞してから、「チチ」の周辺はにわかに華やかになった。横光利一との交友や長い放浪を経たチチは、別に浮かれるわけでもないが、小説を書くはずの時間が削られる。それでなくても小説の理想が高いので、なかなか書き始めず、書いても途中でやめてしまうこともあるのに。「小説を書いてほしい」と願い、生原稿を最初に読む読者で、暮らしを支える著者であっても、作家の創造の現場は、結局は見守るしかない。ただ、チチの文学への著者の信頼は、いささかも揺るがない。前著『森敦との対話』の続編で、チチの死までを記す。森敦は今年生誕100年。
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 集英社・1995円

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